留学生として滞在しながら、現地で就労も行えるCo-opビザ。学生だけではなく、社会人からも人気の高い制度ですが、カナダのCo-opビザが廃止されるという噂をご存じですか?
日本国内の留学サポートサービスなども、自社ホームページやSNSなどにCo-opビザが廃止される旨の情報を記載しています。もし本当であれば留学方法の選択肢が減ってしまうので、これからカナダへの留学を検討している方には大きなダメージとなります。
本記事では、この気になる噂の真相に迫ります。
Co-opビザがカナダで廃止になる件について

カナダで勉強をしながら生活費を稼ぎたい方に向いているCo-opビザ。興味のある企業で有給インターンシップが行えることから、ワーキングホリデーが申請ができない30歳以上の方からも需要があります。
人気の高さゆえ、時期によっては申請から交付まで数ヶ月の時間を要するケースがありますが、今後は申請のそのものが打ち切られてしまうという噂がちらほらと聞こえています。
Co-opビザは廃止になっていない
結論から申し上げると、カナダでCo-opビザは廃止になっていません。
現在も日本国内の留学センターでは、Co-opビザを用いたカナダ留学プログラムを販売しており、毎年多くの日本人が渡航しています。
後ほど詳しく解説をしますが、インターンシップ制度を用いて現地の企業で就労をしたり、ビザ取得に際して年齢制限がないことで、学生だけではなく、社会人からの需要も年々増加の一途を辿っている状況です。海外で働くということは、それだけキャリアアップにつながることを意味しています。
時期によっては長い待ち時間がかかる
時期によっては、Co-opビザの申請から発行までかなりの待ち時間が発生します。繁忙期には数ヶ月待ちもザラですが、完全に提供が止められることはありません。
日本国内でcoop留学プログラムを提供している企業のCustomer service(カスタマーサービス)に問い合わせることで、ビザ発給に時間の掛かる時期を教えてもらえます。スムーズな手続きを行うためにも、事前の情報収集は必ず行ってください。
Co-opビザ廃止の情報はデマ
数年前からいくつかの留学センターによって、カナダが政府がCo-opビザ発行を取りやめる決定を下したという話が広がりました。
留学センターのホームページや、SNSなどでその情報を知った方々の間では、小さくない波紋が広がったことでしょう。実際に廃止情報を受けて、Co-op留学プログラムの取り扱いを停止した留学センターも存在します。
元々、現地労働者の間ではCo-opビザを危険視する声は上がっていました。企業がインターンシップ制度という形で安い外国人労働力を手に入れれば、自国民の雇用に大きな影響が出ると危惧したのです。
安い賃金で雇用できる人材が増えれば、カナダの失業率上昇にもつながります。失業者の増加率が改善の兆しを見せない北米にとって、この状況は決して無視できるものではありません。それゆえに、Co-opビザ廃止という情報に信憑性を持たせてしまったということでしょう。
ビザ廃止の情報が出て数年が経過した今でも、カナダ政府はCo-opビザを発給しています。従って、ビザ廃止の噂はデマだったと結論付けられます。
今後の動向は不透明
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、世界経済は大きなダメージを受けました。
各国は独自の政策に乗り出すことで、何とか経済の安定化を図ろうと躍起になっています。Co-opビザがカナダの経済に与える影響は一概には言えませんが、失業率の改善などがみられない限り、Co-opビザ制度も安泰とは言い切れません。
長年に渡って危惧されてきたように、現地の労働力を重視するためにCo-opビザが廃止される可能性はゼロではないのです。
帰国後のキャリアアップや、海外就職を目指す方々には痛手となりますが、こまめに情報をチェックすることで、今後の動向に備えてください。
Co-opビザ取得の条件

今後もCo-opビザが利用できると分かり、ホッと胸を撫でおろしている方もいるでしょう。しかし、cp-opビザは、カナダへの留学をしている方が誰でも無条件に申請できるわけではありません。
Co-opビザ取得には、いくつかの条件が存在します。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
学生ビザをもっていること
カナダの学生ビザを所有していなければ、Co-opビザの取得ができないことを覚えておいてください。順序としては、先のカナダの学生ビザを取得してからCo-opビザの申請を行います。
この場合、たとえ就学期間が6ヶ月未満であったとしても、必ず学生ビザの申請が必要ですのでご注意ください。
就労が就学期間の50%を越えないこと
インターンシップ先の仕事が魅力的でやりがいに溢れているとしても、学業を疎かにすることはできません。Co-opビザ取得の条件には、就労が就学期間の50%を越えてはならないという項目が盛り込まれているのです。
例えば、Co-opビザのプログラムによって1年間のカナダ留学を行ったとします。その場合は前半の6ヶ月を就学(学業)、後半の6ヶ月を就労(インターンシップ)と分けることになります。
カナダ、特にバンクーバーには名立たる大企業のオフィスや工場もありますので、社会人の方はキャリアアップに励みたいところですが、きちんとルールを守って学業にも集中してください。
学校が就労(インターシップ)をプログラムの一部だと証明していること
インターンシップ先での就労がCo-op留学のプログラムに盛り込まれていることも、ビザ申請の条件となります。
分かりやすく説明すると、Co-opプログラムの50%に割り当てられている就労の部分は、コース修了に必要な「現場実習」だと考えてください。
現場実習という単位を取得しなければ卒業ができないというシステムを、留学先の学校がきちんとカリキュラムの取り入れており、尚且つそれを証明するためのレター(証明書のようなもの)を発行してもらうことで、Co-opビザの申請が行えます。
Co-opビザで留学するメリット

Co-opビザを利用することによって、資金力に余裕がない方や、年齢的にワーホリ留学が難しい方を中心に多くのメリットを得ることができます。
あまり知られていないCo-opビザの恩恵を解説します。
働きながら勉強ができる
学生ビザでも現地での就労は許可されていますが、週に20時間までという制限があります。Co-opビザでの就労も同様の条件なのですが、この2つを併用することにより、最大で週40時間の就労が可能となります。
週40時間というと、1日8時間の労働を週5日行えるということですから、学校に行きながらフルタイムで働けるということです。就労が就学期間の50%を越えてはならないという制限はありますが、現地で生活費を稼ぐ必要のある学生には、有難いメリットでしょう。
また、現地企業での就労経験を積むことにより、卒業後に正社員として雇用されるケースもあります。現に、学生という身分から、Assistant manager(アシスタントマネージャー)という地位で正規雇用された例も存在するのです。
勉強できる分野の幅が広い
カナダのCo-op留学で学べる専門分野は、非常に幅が広いことで有名です。その中でも、特に人気が集中しているのが、下記の分野となっています。
- ビジネス系
- IT・WEB系
- 医療系
- ホスピタリティ系
カナダの教育水準は、非常に高いレベルにあります。カレッジで質の高い授業を受けることでより高度な知識を蓄えることができます。
加えて、世界的な大企業も多く存在しており、インターンシップで雇用されることでグローバルな経験を積むことができるでしょう。
特に、ホテルなどのホスピタリティ系では、世界中から訪れる観光客を相手に接客スキルを磨くことができるので、帰国後に貴重な人材として重宝されることは間違いありません。
自分がどの分野で成長したいのか、しっかり見極めてからCo-op留学の臨むと良いでしょう。
年齢制限がない
ワーキングホリデー制度とは異なり、Co-opビザ取得には年齢制限がありません。これは、日本での社会人生活に物足りなさを感じ、海外で働きながら自分を高めたいと考える方にとっては嬉しいメリットです。
ワーキングホリデーは、原則31歳以上の方は参加することができません。31歳という年齢は決して高齢ではなく、むしろ若い部類に入ります。この年代から先を見据えた人生設計を組み直す方も多いので、年齢が原因でカナダへの渡航が諦めるのは非常に悔しいでしょう。
年齢のほかに定員数に上限が設けられるケースも多いので、Co-opビザはこういった煩わしさから解放してくれる素晴らし制度なのです。
最大で3年間の滞在が可能
Co-opビザでは、最大2年間に渡ってカナダに滞在できますが、ワーキングホリデーなどと組み合わせることで、最大3年間の滞在が可能となります。
カナダへと渡る理由は人それぞれですが、インターンシップ先と相性が良かったり、より多くの専門知識を得たい方ほど、長期滞在を希望する傾向にあります。
就労を通じて現地企業に就職するチャンスも得られますので、向上心の高い方は最大限に活用したい仕組みです。
Co-opビザで留学するデメリット

Co-opビザには、残念ながらいくつかのデメリットが存在します。
問題点を把握していないことでトラブルに発展したり、人によってはCo-opビザの申請そのものを断念しなければなりませんので、しっかりチェックしていきましょう。
英語力がないと取得できない
残念ですが、英語初心者の方はCo-opビザを取得することが難しいです。インターンシップとして現地での企業で仕事をする以上、ある程度の英語力は必須となります。就労面だけではなく、学校に入学する際も英語力が必要となり、大まかな目安は下記のとおりです。
資格 | 求められるスコア |
---|---|
IELTS Overall | 5.0~6.0 |
TOEFL iBT | 55~80点 |
TOEIC | 600点から700点 |
英検 | 2級から準1級 |
上記はあくまでも参考ですが、英語での日常会話や、読み書きができなければCo-opビザは発給してもらえないでしょう。
現時点で上記のレベルに達していない方は、日本国内で英語の勉強に励んだり、語学留学を活用してスピーキング力や、リスニング力の向上に努める必要があります。
学校の選択肢が制限される
学校側が外国人留学生にCo-opプログラムを提供するには、カナダ政府の認定を受ける必要があります。カナダに存在する大学や大学院・専門学校の全てでCo-opプログラムを受講できるわけではないのです。
また、語学学校ではCo-opプログラムを提供することはできません。語学留学でCo-opプログラムを利用する場合は、カレッジや専門学校で履修科目を学びながら、英語力を高めていく形となります。
インターン先と履修プログラムが直結している
ワーホリ留学とはことなり、Co-opプログラムでは自分が履修している内容と、インターンシップ先の職種に関連性が必要です。
極端な例えをすると、医療について学んでいるのに、スターバックスの店員として働くことは無理だということです。自分が働きたい企業に好きに応募ができるわけではありません。
その上、履修内容と直結しているインターンシップ先を探すのも一苦労です。Co-opプログラムにおける就労先は自分で探す必要があります。学校が紹介してくれるケースもありますが、基本的に自分の働き口は自分で見つけるスタンスです。
Co-opビザは今後もカナダで使える

現地で仕事をしながら様々な分野の勉強ができるCo-opビザ。語学留学に適応されないのは残念ですが、少しでも留学費用を浮かせたい方には心強い制度です。
Co-opビザがいつまで利用できるかはカナダの政府機関の判断に委ねられますが、少なくとも今すぐ廃止になるような動きはありません。
カナダ側にしても、外国人留学生を多く受け入れることによって現地の学校が潤うので、余程の理由がない限りは廃止という決断は下さないでしょう。
今後もCo-opビザは日本とカナダの懸け橋となる重要なシステムです。
海外で様々な経験を積みたいと考えている方は、Co-op留学で自分の中の可能性を大きく広げてください。