マレーシア移住条件は10個!永住権取得のハードルは高い?

リングノートとオレンジ色のペンのクローズアップ 海外移住

日本人の移住先として人気のあるマレーシア。経済的にも発展していることから首都には高層ビルが立ち並び、郊外に移動すれば美しい自然が広がる魅力的な土地です。

様々な国の文化が混じり合った土地としても知られていますが、移住するにはどのような条件をクリアする必要があるのでしょうか。

本記事では、マレーシアへの移住を検討されている方に向けて、マレーシア移住の条件を徹底解説します。

マレーシア移住の条件

赤いパーカーとヘッドホンでパソコン学習をする子供

マレーシアに移住するためには、「MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)」という長期滞在ビザの取得が必要不可欠となります。

MM2Hを取得してしまえばマレーシアで長期的に暮らせるようになり、この取得条件こそがマレーシアへの移住の条件だと言えるでしょう。

そんなMM2Hの取得条件を余すことなく見ていきましょう。

35歳以上

意外に思われるかもしれませんが、マレーシアの長期滞在ビザには年齢制限が設けられており、35歳以上でなければ申請することができません。

そのため、20代など若かりし頃からマレーシアに移住したいと考えている方は、残念ながらほかの国を検討する必要があります。

しかし、後ほど解説しますが、MM2Hを取得するためには収入面での条件があるので、この35歳以上という年齢制限は決して遅いわけではありません。

滞在期間が90日以上

MM2Hは、マレーシアへの滞在期間が90日以上でなければ申請できません。それ以下であれば、一般的な観光ビザを使います。

長期滞在ビザは、現地で長期間に渡って生活をする方を対象としたものですので、一定の滞在日数を指定されるのは仕方ありません。

マレーシアは世界的に見ても有数の観光地であり、全土に世界遺産がちらばっています。実際に滞在すれば、90日などあっという間に過ぎてしまうでしょう。

150万RMの流動資産を申告

ここからは金銭面での条件に話が移ります。MM2Hの取得には、150万RMの流動資産を申告する必要があります。

RMはリンギットの略で、マレーシアの通貨を示しています。

では、RMがいくらかと言うと、この場合はの150万RMは、日本円に換算すると約4,700万円もの大金となるのです。

流動資産とは、簡潔に言えば「短い期間で現金化することのできる資産」のことです。例を挙げるなら、受取手形や有価証券、仕入れたまま加工していない商品などがこれに当たります。

つまり現金以外の流動資産が約4,700万円なければ、MM2Hの申請ができません。35歳以上という年齢が決して遅くないといった理由は、20代でここまでの資産を築くことが難しいからなのです。

マレーシア国内で定期預金額が100万RM以上

マレーシア国内で100万RM(日本円で約3,100万円)の定期預金を保持していることも、MM2H取得の条件です。

単純に計算すると、流動資産と合わせて約7,800万円の財産が必要な計算です。

この金額がハードルとして高いか低いかは個人の経済状況によって異なりますが、マレーシアに移住するには金銭的に裕福でなければ厳しいでしょう。

マレーシア国外で得る収入が月に4万RM以上

MM2H取得には、マレーシア国外で得る月収が4万RM(日本円で約125万円)以上必要です。

月収125万を日本で稼ぐことは簡単ではありません。その金額があれば、日本国内でも裕福な生活が送れます。

実はMM2Hはコロナ禍の影響で2020年7月より申請受付を停止していましたが、2021年10月より新規の受付を再開しています。その際、再開前の月収1万RM(日本円で約31万円)から、月収4万RMという条件変更がなされたのです。

しかし、マレーシアは日本と比較して物価が安いので、月収125万円あれば、王族のような暮らしが可能です。そこが魅力で、敢えてマレーシアへの移住を選択する方も多いです。

35歳以上49歳以下は別途の条件あり

金銭面では、最後の条件です。MM2H申請者の年齢が35歳以上49歳以下の場合、下記の条件がプラスされます。

「申請者の配偶者及び子女、両親、義両親の親である被扶養者については、一人につき5万RMが定期預金額に加算される」

つまり単身で移住する場合でも約3,100万円の定期預金が必要ですが、同行者がいる場合は、一人につき約150万円が加算されます。例えば夫婦で移住する場合は、約3,250万円の定期預金が必要となるわけです。

必要書類の提出

ビザの申請に面倒な事務手続きは付き物ですが、MM2Hの申請にも下記の書類を提出する必要があります。

提出書類 詳細
パスポートのコピー パスポート全ページのコピー
パスポートの顔写真 パスポート用サイズの写真
カバーレター ビザ申請理由を記載
MM2H申請用紙 申請用紙をダウンロードし、自筆で記載
代表者の経歴書 学歴、職歴を記載
IM12フォーム 原本1枚、コピー2枚が必要
健康自己申告書 書類をダウンロードして記入
結婚証明書 配偶者が同行する際に必要
出生証明書 21歳未満の子が同行する際に必要
財務書類の開示承諾書 書類をダウンロードして記入
無犯罪証明書 各都道府県警本部にて発行、MM2H申請用紙を持参
在籍確認承諾書 書類をダウンロードして記入
財務関連書類 直近3ヶ月分の預金証明書
チェックリスト(Appemdix) 書類のダウンロードが必要
スクロールできます

お決まりの書類が多い中で、マレーシアの長期滞在ビザ申請者は、無犯罪証明書の提出が義務付けられています。これは同行者にも適用されるので、夫婦で移住するのなら二人分の無犯罪証明書を用意してください。

犯罪歴のある外国人を受け入れることが、マレーシア側からしてもリスクなのでしょう。

医療保険への加入

マレーシアでは医療保険への加入義務があり、加入しないとMM2Hの申請は許可されません。

誤解しないでいただきたいのは、マレーシアには日本のような公的医療保険制度がありません。従って、医療保険に加入する場合は、マレーシア国内の認可保険会社を通じて民間の保険に加入することになります。

マレーシアの医療機関は高度の医療を提供していますが、民間の保険に加入していないと自己負担額が10割(全額)となります。

マレーシア人であれば公的医療機関を受診することが治療費は安価で済みますが、外国人が民間の保険で民間の医療機関を受診することになるので注意してください。

子供は就学許可(学生ビザ)の申請が必要

同行者に子どもがいる場合、長期滞在ビザ取得後にMM2H移民局で就学ビザの発行申請を行ってください。

近年は子供の留学目的でマレーシア移住を検討される方が増えていますが、就学ビザがなければ学校に通えないことを覚えていてください。

申請から取得まで日数が掛かるケースがあるので、すぐに現地の学校に通わせたいのなら速やかに手続きを行う必要があります。申請は保護者が行えばOKです。

納税を怠らない

どこの国にも共通しますが、マレーシアにも納税制度があります。

怠ればビザの取り消しはもちろん、犯罪として現地の警察に身柄を拘束される恐れがあります。

就労して得た報酬だけではなく、株式や不動産売買から発生する利益も課税対象ですので注意をしてください。

日本から支給される年金は申請することで非課税となりますので、老後の生活資金が年金だけの場合は忘れずに申請するといいでしょう。

マレーシア移住のメリット

カラフルなリングノートが重ねられた文具の山

マレーシア移住には様々なメリットがありますが、ここでは実際に移住を見据えた方のために、現実的(リアル)な付加価値をご紹介していきます。

これを読めば、マレーシアが初めての海外移住に適した国だと理解できるでしょう。ぜひ参考にしてください。

長期滞在ビザで永住が可能

MM2Hは5年ごとの更新制ですが、条件を満たすことでほぼ永久的に更新し続けられます。

つまり永住ビザではないものの、更新を繰り返すことでマレーシアへの永住が可能となるのです。

EU加盟国などで永住権を得るハードルは非常に高いので、長期滞在ビザの更新で永住できるのなら楽でしょう。

日本に帰国がしやすい

東南アジア諸国に位置するマレーシアは、日本へのアクセスが非常に良いです。

フライト時間は約7時間。時差も約1時間ほどですので、互いの国を行き来するのに適しています。仕事や冠婚葬祭などでの急な帰国時には便利でしょう。

ビザの申請に語学力や職務経歴が影響されない

MM2H申請に、語学力に関する規定がないのは有難いです。

EU諸国では、永住権や長期滞在ビザの申請に一定の語学力や職務経験を設けています。

現地での社会や文化に溶け込むことを理由としていますが、日本人であれば英語以外の語学を学んでいる方はあまり多くないでしょう。

家族の同行も可能

定期預金額の加算という条件がネックですが、MM2Hを取得できれば家族も一緒にマレーシアへ移住できます。

その際の条件は、下記のとおりです。

  • 申請者の配偶者
  • 21歳未満の未婚の子女
  • 60歳以上の両親や義両親

なお、家族はMM2Hの取得が不要です。これは非常に大きなメリットでしょう。

金銭的に得するケースが多い

マレーシアは財テクにも適した国です。

例えばマレーシア国内で銀行口座を開設すると、金利が2.4%も得られます。これは日本と比較すると驚異的な数字でしょう。

ほかにも優遇ローンで住宅を購入できたり、現地の金融商品や投資商品を購入して、有利な税率の上で資産運用も可能です。現地で起業するなど、新たなビジネスを始めるにも適した環境です。

タックスヘイブンとなっているラブアン(マレーシアに属する小さな諸島)に、ラブアン法人を設立することも節税方法としておすすめします。

就労も可能

MM2Hを保有していれば、50歳以上の専門職に限り、マレーシアで週20時間以内の労働が可能となります。

就労ビザの取得が不要なのは、大きなメリットでしょう。

マレーシア移住のデメリット

開いた本とコーヒーカップが置かれた木製デスク

マレーシアの移住には、いくつかのデメリットも存在します。

その中から、今回は日本という整備された国で暮らしていることで許容することが難しいポイントを解説していきます。

  • 「マレーシアの移住はやめとけ」
  • 「悲惨で後悔しかない」

SNSで稀に見かける上記のような理由にも直結してきますので、自分がマレーシアに住むことを想像しながら読んでみてください。

不衛生

マレーシア全土がそうというわけではありませんが、日本と比較すれば衛生面は良くありません。

マレーシアは自然が豊かであることに加え、熱帯雨林気候でもあります。これは一見するとメリットに思えますが、虫やネズミ、ゴキブリなどを大量に発生させる要因です。

道端にネズミの死骸が落ちていることも珍しくないので、綺麗好きな方には厳しい環境かもしれません。

断水が頻繁に起こる

マレーシアでは水道管修理や水不足など、何かにつけて計画断水が行われます。

数時間で済むのなら我慢できますが、工事が数日に渡るケースもあり、日常生活に大きく支障をきたす恐れがあります。

事前に告知はされるので、水の確保など対策を立てる必要があるでしょう。

交通事情が悪い

日本の整備された交通事情とは異なり、マレーシアでは車の運転でヒヤヒヤするケースが多いです。

スピードの出し過ぎや強引な追い越し、時には無謀な信号無視など、大袈裟が表現を使えば無法地帯のような交通状況ですので、車の運転に自信のない方は危険でしょう。

このあたりは国民性と言わざるを得ません。

マレーシア移住は日本人に向いている?

白いデスクに置かれたノートとノートパソコン

結論からお伝えすれば、マレーシア移住は日本人に向いていると言えるでしょう。

近年、東南アジア諸国は日本人の移住先として人気を集めています。その中でも、マレーシアやフィリピン、タイといった国に移住する人は年々増加の一途を辿っています。

マレーシア移住が日本人に向いている理由を詳しく解説していきます。

英語でコミュニケーションが取れる

マレーシアでは英語が通じるので、日本人にとっては有難い話です。事前に最低限の英会話を習得しておくことで、現地での生活にそこまで不自由を感じることはありません。

また、マレーシアは語学留学先としても人気です。MM2Hの恩恵で家族の同行もスムーズですので、子供の英語教育のために移住してくる日本人も少なくないです。

物価が安い

何と言っても、物価が安いことは大きなメリットです。

首都クアラルンプールで住まいを探す場合は、日本の地方都市の家賃相場とそこまで大きな変化はありません。

しかし、食品や飲料を始め、光熱費や通信費などが非常に安く、裕福層ではない日本人が毎日外食をしても、生活資金が逼迫(ひっぱく)することはないでしょう。

日本人に友好的

マレーシアは、親日国家と言えるほど日本人に有効的な国民性を持っています。

そのため、拙い英語しか話せなくても、現地のマレーシア人のサポートを受けることで快適な日常生活が送れるでしょう。

差別や偏見といったトラブルからも少なく、移住語に文化や価値観の違いで嫌な思いをするケースが少ないかもしれません。万が一何かあっても、日本の駐在員事務所があるので安心です。

マレーシア移住の条件は厳しくない

多数の開かれた本が並べられたテーブルの俯瞰

マレーシアの移住には、MM2Hというビザを取得する必要がありますが、その条件は決して厳しくありません。

月収や貯蓄といった金銭面がややネックにはなるでしょうが、逆に言えばそこさえクリアしてしまえば、移住へのハードルは低い国だと言えるでしょう。

マレーシアを始め、東南アジア諸国に移住をすることで今の生活を大きく変えられます。金銭面でのメリットも非常に大きく、日本へのアクセスも良いことから、永住ではなく、一時的なロングステイにも適しています。

自分の人生を全く違いものに変えたいと願う方は、マレーシアで第二の人生を歩むのも良いでしょう。

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